七月(文月)から始まった、月替わりの「特集」。
お店のメンバーだけでなくお客さんの参加も得ながら、20本を超える投稿をご紹介してきました。
喫茶店に流れる時間は一つではなく、それぞれが思い思いの時間を過ごし、それぞれがそれぞれに何かを感じ、考えている。そんな店頭の空気を感じてもらえたらという思いからの企画でした。
十二月(師走)は、一旦立ち止まる月に。これまでの投稿を振り返り、味わい直します。
ことばも一つの表現。それはささやかで、ときに非力とさえ感じることもあるけれど、でも確実に読み手の中に何かを残します。それは大きければいいということでもなく、小さいのに、長い時間ずうっと、自分の中に響き続けるようなことばとの出会いなんかもあるものです。
普段何気なくしている「お店に行く/来る」という経験ですが、その過程をよくよく追ってみると、それぞれの人なりの「あ、来たな」と感じる瞬間があるように思います。そしてそれは、行くお店によっても違うものでしょう。
胡桃堂喫茶店の場合はどうでしょうか。
喫茶店には欠かせないものの一つ、グラス。どんなグラスを使っているかには、お店の個性がかなり出るようにも思うのですが、お客さんの側からすると実はあまり目に留まらないものかもしれません。でも、どんないいお話でも、わき役こそがいい味を出しているものです。
日々、胡桃堂喫茶店にはたくさんの人が出入りします。喫茶店に留まらないあれやこれやをやっているおかげで、多様な人たちが集まります。お客さんも、スタッフも、大事な打ち合わせをしたい人も、甘いものが食べたい人もいるでしょう。それぞれに訪れる理由があります。なかには「あの人に会えると嬉しいから」という理由だってあると思うのです。
胡桃堂喫茶店のお会計の場所はお店の入り口からまっすぐ正面にあります。それはドリンクカウンターの横でもあり、キッチンの入り口のすぐ側でもあって、なんとなく1階フロアの真ん中に位置します。お会計はスタッフにとってお店で過ごした後のお客さんと言葉を交わすチャンス。1階のこの場所でお話に花が咲くことも。
メニューを開くとき、あなたはどんな気持ちですか?
新しい味に出会うかもしれない期待にワクワク?
店員さんを待たせてはいけないとドキドキ?
いつも同じものを頼んで冒険ができずにガッカリ?
喫茶店でメニューを開くのは、何かのはじまりかもしれません。
みんなから寄せられた「メニューから始まる旅」、お楽しみください!
月がわりで、喫茶店にまつわるあれやこれやをテーマに、複数の語り手による文章や写真を掲載していきます。エッセイもあれば、小説もあれば、歌もある。 現実の喫茶店がそうであるように、そこに流れる、一人一人にとってユニークな時間の流れを、それぞれの記事から感じ取っていただけたならうれしいです。
「私も参加したい!」と思ってくださった方は、こちらの投稿フォームからぜひご送信ください。過去のテーマでも大歓迎です。