胡桃堂喫茶店

特集・霜月篇「メニューを開くとき」

身を寄せ合って

東島可那子

人と人が身を寄せ合って同じものに見入っている姿に、妙に心をくすぐられます。

月を見上げたり、川を覗き込んだり、虹や花火に歓喜したり‥。どうしてあんなにも微笑ましく、こちらの心までほぐれていく心地がするんでしょう。

お店に立っているときにも、そんな瞬間があります。それが、“メニューを開くとき”。

一冊のメニューを顔を寄せ合ってのぞき込む姿がなんだかすごくいいなあ、といつも思っています。二名様以上の場合、二冊目をお渡ししているのですが、その姿を見られないと思うと勝手に寂しさのようなものを感じてしまうくらいに。

「うわぁ~、こっちもおいしそ~」「迷うな~、、」なんて言葉を交わす様子に、幸せをお裾分けしてもらっているような。そんな気分で、お店に立っています。

東島可那子(ひがしじま・かなこ)

胡桃堂のお笑い担当(自称)。趣味は散歩。思考や気持ちを整える内省型散歩も、ウキウキわくわくの街歩き型散歩も、どちらも大好き。

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