胡桃堂喫茶店

特集・霜月篇「メニューを開くとき」

大抵は深煎り珈琲を注文するのに

チョチョロドリゲス

メニューを開くっていうのは、ワクワクするものです。

メニューにも色んなタイプがあります。ぺらっと一枚テーブルの上に置いてあったり、あるいは壁に短冊がたくさん貼ってあったり、はたまた大きな黒板に書いてあるなんてのもあります。最近ではタッチパネルや、スマホのアプリでわざわざ見る、なんてのもあるようで。

その中でも、表紙があって、開いて中を見るっていうのは、少し特別な感じがします。なんだろう、俯瞰できない感じ、というのかしら。

ほう、ここは日本茶のページ、、、で、、次をめくると、、おお、お茶菓子もありますか。いやいや、やっぱり最初に戻って、、コーヒーの中から選びましょうか。あれ?お食事が最後の方にありますか!

メニューの中を行ったり来たり。にわかに感情のストーリーが立ちのぼります。入り込んでしまうのですね。

不思議なことに、何度も通っている喫茶店でさえ、毎回ページをめくってしまいます。大抵は深煎り珈琲を注文するというのに。

メニューを見ながら、なんだか、どこかに何かを忘れてきてしまったのではないだろうかと、確認するような気持ちになっているみたい。

大抵は深煎り珈琲を注文するのに。

 

チョチョロドリゲス

絵を描いたり文章を書いたり、写真を撮ったり曲を作ったり、散歩をしたりするのが好きです。人と話をすることも大好きです。もちろんペンネームですが、なにかの会員登録でうっかり使ったらこの名前で郵便物が届きました。

特集・霜月篇(十一月) 記事一覧