胡桃堂喫茶店

特集・神無月篇「お会計」

お開きしないじゃん

チョチョロドリゲス

ホームパーティがそろそろお開きになってさ、みんなそれぞれ上着を着たり身なりを整えたりしてさ、それで、会場であるリビングルームから玄関に向かう間にさ、なんかまた30分くらい話しちゃったりすることありませんか。

ひどいときは、玄関から外に出て、その後ずっと立ち話してるとか。

お開かなければ良かったじゃない、と、その時には思ったりするんだけど、この、去りがたい気持ちを皆が共有してる時間は、パーティの本編では味わえないものなんですよね。これはもう、パーティとは別ものの何か。

共感してくれる人がいると思うんですけど、胡桃堂喫茶店のお会計にはこれと同じような魔力がありますね。

客席でずいぶん長いこと会話をしていたはずなのに、レジに行くとなぜか、また話を始めてしまいます。伝票をはさんである磁石の胡桃をパカッと開くのが魔力の発動で、代金を支払いながら、去りがたい気持ちになってしまうのです。

壁側の棚の上にもし飲み物が用意されていたら、手に取ってしまうかもしれません。そして、立ったまま飲み物を手に談笑する去りがたい人たちの輪が、レジのまわりにできるのです。

チョチョロドリゲス

絵を描いたり文章を書いたり、写真を撮ったり曲を作ったり、散歩をしたりするのが好きです。人と話をすることも大好きです。もちろんペンネームですが、なにかの会員登録でうっかり使ったらこの名前で郵便物が届きました。

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