胡桃堂喫茶店

特集・霜月篇「メニューを開くとき」

メニューはあなたと共に

立夏

メニューを開く時、食事を共にする相手の表情を見るのが何よりも楽しみだ。お店はできれば喫茶店がいい。ちょっとだけ非日常。
ゆっくりできる場所。ファミレスでも、フレンチでも、ラーメン屋さんでもなく、喫茶店。
ファミレスはメニューのバリュエーションが壮大だ。
大抵「あ、これとドリンクバーで。」ガサっと決まってしまう。
フレンチは、緊張とお店に身を馴染ませることで気持ちが精一杯だ。ラーメン屋さんは、サラッといつの間にか決まってしまう。ほとんどの場合、おなかが空いているから。
喫茶店は「食べる、飲むだけではない」場所なのかも。
お店に入れば別次元だ。
あなたと私。そして、2人が交わる場所、喫茶店。
あなたがメニューを開く。私は君の表情をちらりと見ている。眉間に皺を寄せて、ブツブツを独り言を呟いて、顎を手で撫でて。メニューを眺めている時、人は無防備になるものだ。それが面白くてたまらない。メニューを開く、それはその人を映し出すのだ。

立夏

幼少期から図書館へ通い、児童文学、絵本が好きになる。
小学生の時に書いた絵本が学年最優秀賞に選ばれる。
夢は絵本作家になることだった。
大人になった現在は、旅、出会い、食など、感じたことを徒然なるままに書きとめている。

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