胡桃堂喫茶店のメニューづくりで考えるのは、「かけるべき時間と手間をちゃんとかける」ことや、「由来あるものをつくる」こと、あるいは「季節感(暦)」といったことです。もっともぼくらは料亭などではなく喫茶店ですので、相応にということにはなりますけれど。
たとえば5月の定番メニュー「よもぎ餅」は、よもぎを畑で育て、摘み取るところから作ります。定食でお出しする味噌汁では、地元の季節の野菜などの食材を受けて、それに合う出汁を引くところから作ります。「国分寺茶」では、店から自転車で10分くらいのところにある地元の茶畑の茶葉を使います。くるみも、毎年10月、長野県東御市まで収穫の応援に伺います。
地元で発見された古代米の種籾から「赤米」をつくり、白米と一緒にお赤飯のように炊いて新春の定食としてお出しすることもあります。
もっともこれらのことも、美食をきわめるとか食育とか、そういった趣旨の取り組みとはちょっと違うものです。思いは一つ、「お客さんによろこんでもらいたい」ということです。
スタッフが息せき切って「くるみ、取ってきたよー」ってお店に運び込んできたくるみを、「はいはい」って言ってその場にある道具で調理して出すような、そういう人の「存在」や「熱量」のようなものが感じられる食べ物であり飲み物をお出ししたい。人は、そういうものに触れたときこそ元気になれるものだと思うからです。
コーヒーはご注文をいただいてから豆を挽き、一杯一杯ハンドドリップでお出しします。アイスコーヒーは水出しで、5時間かけて1滴1滴抽出。喫茶店といえば確かにコーヒーですものね。
でもぼくらの看板ドリンクはコーヒーだけではありません。緑茶、紅茶。中国では七大茶と言われるくらいお茶の文化も奥深いもの。特に国分寺には実は茶畑があるんです。それも店からすぐ近く。お茶って、ちゃんと出すと甘いんだって教えてくれたお茶です。
ちなみに多種多様に入ってくる注文を瞬時に見定め、段取りよく手際よく淹れていくドリンクカウンタースタッフは、店の花形。そこにも注目して見ていただけるといいなと思います。
店の名を冠したブレンド。イメージした色は紺と柔らかな黄色。豊かな香りとしっとりとしたコクがあります。夕暮れ時の店内は、まさに胡桃堂ブレンドタイム。焙煎はTakaiTOCoffee。
胡桃堂喫茶店のお菓子には定番と季節限定のものとがあります。注目を集めやすいのは後者ですね。かき氷を筆頭に、フルーツあんみつ、南瓜のプリン、くるみおはぎ、お汁粉、よもぎ餅など、見た目にも華やかな甘味が並びます。
一方、喫茶店は日常を受け止める場所。いつも変わらないものがある安心感というものもきっとある。美唄ぐるみのタルト、シベリアやカステラショートにチャレンジしていた時期もありました。今では台湾カステラがその役割を担っています。
初めて来てくださる方にも、毎日のように来てくださる方にも、楽しんでもらえる店でありたいです。
"南瓜のプリン"と聞いて想像するよりも、ずっと濃厚なかぼちゃ味です。自家製あんことシャンティをのせてお出しします。
卵の風味を感じる甘さ控えめな台湾カステラ。しっとりしたスフレのような食感は、新しくてどこか懐かしい味。自家製あんこ、ホイップクリームを添えています。
胡桃堂喫茶店の定食、何種類ご覧になったことがあるでしょうか。フルでやりますと、春夏秋冬各2種で計8種類になります(年によって変わります)。これは意外に大変なことで、その都度、仕入や仕込み、提供などの段取りを組み直さねばなりません。スタッフがやっと慣れたと思った頃に次のメニューということにもなります。しかも、自分で言うのもあれですけど一つ一つのレシピが丁寧で、あれとあれは一緒に茹でないとか、これには下味をつけておくんだとか、出汁はこれとこれを合わせるんだとか、やっぱり時間と手間のかかることをやっています。
普通、喫茶店の食事と言えば、ナポリタンとかカレーとかトーストとかが多いですよね(ぼくらもくるみカレーをやっています)。飲食業としての喫茶店の売上の中では、どうしてもできることに限りがあるからというのが一つの理由です。
ここまでのことをやってスタッフが大変過ぎないかとか、採算は取れるのかとか、葛藤がなくはないですけど、でもせめて胡桃堂に来たときくらいは心と体がよろこぶ時間を過ごしてもらいたいと思って、やっぱりがんばってしまうのです。
国分寺産の里芋を蒸して豆乳と一緒に煮込むとホワイトソースのようにとろ〜りとなります。そこに胡桃とチーズをのせオーブンで焼き上げたグラタンは、寒くなる季節にぴったりです。白味噌のやさしい味わいのお味噌汁は、いりこと昆布で出汁をとっています。きのこをたっぷりいれたバター風味の炊き込みご飯と一緒に、熱々のうちにどうぞ。
(里芋と鮭と胡桃の豆乳グラタン、季節野菜の白味噌汁、きのこごはん)
胡桃をたっぷり使った辛さ抑えめのくるみカレー。いんげん豆やひよこ豆のほくほく感と、遠くに香るスパイス。牛乳でペースト状にした「くるみミルク」がコクとまろやかさを演出します。
(くるみカレー、くるみのバターライス、鶏の唐揚げ、ゆで卵、季節野菜のグリル、自家製ピクルス) *唐揚げなし:1,100円
〒185-0012 東京都国分寺市本町2-17-3
電話:042-401-0433
メール:コンタクトフォーム / info@kurumido2017.jp
営業時間:月・火・水・金・土・日 11:00〜18:00(L.O. 17:30)
お食事のご提供時間は、11:00~15:00(L.O. 15:00)とさせていただきます
*15:00以降は喫茶メニュー(お飲み物/お菓子)のみのご提供となります
定休日:木曜日