ずいぶん昔に友人と、こういうやりとりをしたことがあります。
私「器によって食べ物の味って変わるよね」
友「そんなこと、ある? 信じられない」
私「色や質感で味が変わるよ」
友「器が赤いと食べ物が甘くなったり辛くなったりするの? そんなこと、あるわけない笑」
私「『美味しそう』って感じることで味が変わるってことよ」
友「砂漠を何日も彷徨って究極にお腹が減ってる人がいたとして、赤い皿と白い皿の料理の味の違いがわかるかな?」
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この調子で、いつまで経っても平行線でした。
友人は、器が食べ物に与える物理的な影響の話をしていて、私は、器と食べ物の視覚的な響き合いから受ける心理的な影響の話をしていました。
食べる前に「美味しそう」と思うことは、料理そのものの味を変えることはないけれど、それを感じる私の感覚を変えます。同じ味の料理が、盛り付けによって色々な方向に変化していくのです。
そう考えると、お店の佇まいやスタッフの気配りも、食器と言えるような気がしてきました。
胡桃堂の食器は、私の鑑定眼からすると、大変価値の高いものです。