私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う
吉本ばななの「キッチン」の最初の一文。
シンプルな潔さに、なんだかおかしさも感じた、のとほとんど同時に私は確信した。
うわ、これ絶対好きなやつだ。と
登場人物の声(実際に声に出ていてもいなくても)が、絶対その人にしか言えないだろう言葉で表されていて、なぜだかとても納得してしまう。
みかげちゃんにも雄一くんにも、えり子さんにもまだ出会ってわずかしか経っていないのに。
みんなそれぞれ愛に溢れている。
結構悲しいことがあって、それでも生きているし、かといって別にしんどくない振りもしないで、その現実をただ静かに受け取っている姿がありのままで力強くて好きだった。
自分の感情に見て見ぬふりをしたり、かっこつけて建前を本音にしようとしたりしてしまうことが私にはある。でも悲しみを悲しみとして、喜びを喜びとして、今の私ってこんな気持ちなんだってそのまんまで受け取りたい。いや、受け取るもなにも、だってもうそこにあるものなんだから。
キッチンを読んだのは、数年前の私の誕生日。
その日の気分に合わせて選んだ一冊だった。
少しも取りこぼすことがないように
一文一文ゆっくりゆっくり時間をかけて読んだ。
なんてったって、かつ丼のところが大好きです。
君の名は、、、/古川さとさん のように
いつかのわたしの子どもに「みかげ」と名付けてもいいな。