「パパのお仕事はなあに?」
と幼いころ尋ねると
「謝るのがパパの仕事だよ」
と言われました。
なんだか言っている意味が
わかりませんでした。
だってパパはペンキ屋さんのはずだから。
パパは家や建物のペンキを塗っています。
実家の壁もパパが塗りました。
ペールオレンジの可愛いおうち。
(ぞうさんの滑り台を塗ったこともあると言っていたなあそういえば)
パパは自分で会社をやっています。
誰よりも早く会社に着いて、
みんなが帰ってから帰ります。
毎日たくさん電話がかかってきます。
雨の日は朝からみんなに
「今日はお休みにしよう、ごめんね。」と
たくさん電話をかけます。
(天気が悪いのはパパのせいじゃないけれど)
謝るのが仕事だったのは
パパが会社の主(あるじ)だからだと
大人になって
ようやくわかってきたところです。
もしかしたら
誰かのために自然と出てくる
「ごめんなさい」は、
わたしも主になる小さな一歩なのかもしれません。
*
小学生になってまわりが
お父さんと呼んでいるのを知ってから
なんだか少し恥ずかしくなって
お父さんと呼ぶようになりました。
そうしたら
「パパって呼んでくれないの?」と
パパは言いました。
だからここでもパパって呼ぶね。