胡桃堂喫茶店

特集・皐月篇「店主」

店主になる木がある

大畑純一

例えば私が、いちスタッフがこの先ずっとここで働き続けたとしよう。
何十年と働き続けた先の世代交代で、私が店主になるなんてことがあるとしたら、いったいそれはどんな時だろう。

——まず、気が重い。
とんでもないプレッシャーだ。
無理無理。とまずは言っておきたい。
もう少し楽しく考えてみよう。

とはいえ最初に触れておきたい条件のようなものがある。
「彼/彼女がお店とともにあること」

それはきっと、人生をかけたものになるだろう。
お店といえば彼であり、彼といえばお店である。
その重なり具合が、根っこの張り方が店長とは違う。
「長」とつく役職は持ち回りで成り立つものだ。
店長も料理長も、小学校の校長先生も、いつかは交代する可能性をはらみながら、自分が任された時間に全力を注いでいく。

ただ、店主に交代はない。
店主であり続けるのだ。

ああ、気が重くなってきた。
私は元来向いていないのかもしれない。
世の店主はこれを背負って生きているのだろうかと思うと、
頭が地中に埋まりそうだ。
ああ、今度、うちの店主にもお礼を言おう。

大畑純一(おおはた・じゅんいち)

スタッフ。チーム全体の庶務を仕事の中心としながら、たまにシフトにも入る。ホールをうまく回せているときが人生で一番楽しい。ただ、脳のメモリが十分でないためよく混乱している。