胡桃堂喫茶店

特集・葉月篇[令和四年]スタッフ

スタッフ北村の場合

大畑純一

北村(以下、北) すごい在り来たりだけど
 そのお客さんを、受け入れてるよーっていう気持ちを
 前提に接していたいな、って。
 ほんと心持ちでしかないというか、
 お客さんに伝わってるかわからないけど、
 受け入れてまーすっていうのを(笑)
 心のハードルが今ないです、シャッター開いてまーすという状況を
 なるべくイメージして
 そういうスタンスでいるのはひとつありますね。

 

胡桃堂喫茶店にはいったいどんなスタッフがいるんだろう。
スタッフはなにを考え、お客さんを迎えているんだろう。
現在シフトに入るメンバーはおよそ15人。
今回はそのなかの一人、北村千種さんに
店長としてというよりも
いち店員としての在り方を聞いてみた。

 

大畑(以下、大) 自分は心を開いているんだ、と。

 心を開くと言ったら大げさなんですけど。

 シャッターを開けている。

 今日来てくれたことに対して
 いらっしゃい!みたいな感じの。
 逆に言うと、
 その人がほんと今日最悪な一日だったら、
 店員の態度ひとつで
 もう地に落ちることもありうるじゃないですか。
 なんかネガティブな言い方になっちゃいましたけど(笑)
 そうならないように、
 あなたを受け入れてますよっていう気持ちを
 前提にしようと心掛けています。

 自分が受け入れてるよってことを
 いちばんお客さんに伝えやすい、
 みたいなアクションってありますか?

 (中略)
 同じセリフとか言うわけじゃないですか。
 ただいま満席で、みたいな
 それもなるべくフレッシュに伝わるようにしたいなとは
 心がけてますね。
 (一日に100人ものお客さんを迎えるからこそ)
 数多いるひとの一部ですよ、みたいな感じじゃなくて
 ちゃんとその人を見てるよ、受け止めてるよ、っていうのは
 作業的にならないことで
 少なからず伝わるのかなと。

 うんうん。
 北村さんが、14年くらいでしたっけ、やられてきて
 最初はうまくできなかったけど
 いまではうまくできるようになったことってありますか?

 うーん、めっちゃある。(笑)
 とにかくテンパりマンだから
 テンパることの場数を踏んで、
 なるべく平常心を保てるように努めてるけどって感じですね。
 場数は踏んでるほうなので、まあこの店ではですけど
 だいぶ開き直れるようにはなりましたね‥。

 さっきの話に戻ってなんですけど
 ちゃんと一人ひとりに応対するっていう
 心掛けだとか気持ちの部分以外で、
 技術とかコツはありますか?

 100%はできてないんですけど、
 すごいタイミングって大事だなと思って。
 注文、お冷、中間下げ、追加したいとか
 それって見てないとできないから、
 見てるよーとかそういうことに繋がるのかなって。
 心地いいタイミングで
 気づいたら「お、いる」みたいな。
 すごい基礎的なことですけど。(笑)

 

なにか特別なことはしていない。
だが、その「在り来たり」なことを
状況がめまぐるしく変化していく喫茶店の現場で
きちんとできるようになることは、特別なことだと思う。
自身をテンパりマンだという彼女は
私の目にはずっと、最も安定しているメンバーに見えていたのだから不思議だ。

ここに書ききれなかったことも、聞ききれなかったこともあるし
15人のスタッフそれぞれが
きっと自分の哲学を持っている。

 

あなたが感じたことがあれば、ぜひ教えてください。
本特集にはどなたでもご寄稿いただけますので。

これからもみなさまに喫茶店でいい時間を過ごしていただけるよう
磨いていきます。
ご来店、お待ちしています。

大畑純一(おおはた・じゅんいち)

スタッフ。チーム全体の庶務を仕事の中心としながら、たまにシフトにも入る。ホールをうまく回せているときが人生で一番楽しい。ただ、脳のメモリが十分でないためよく混乱している。

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