ひとの顔をみたのは何時ぶりだっただろうか
はた…とそう気づくくらい、ひとの顔と視線を正面から合わせたのは久しぶりだった。
会わないわけでも 無視しているわけでもない。
会話も当り障りない程度に交わせている。
ただ誰と話しても、相手が同じリアクションと共感を求めるマネキンにしか見えず気疲れしてしまうし、そんな自分に嫌気も差す。
そんな私にとって『喫茶店』は、ごほうびと気持ちの切り替えをくれる貴重な場所の1つです。
コーヒー、紅茶、緑茶、ジュース、フロート…
和食、洋食、軽食、アラカルト…
和菓子、洋菓子、焼き菓子、創作スイーツ…
自動販売機やコンビニ・スーパーで得られる満足感とは異なるひとときの贅沢は、何度訪れるこの食の遊園地には胸がわくわくします。
また従業員の方々が保ってくださる心地よい一定の距離感がありがたい…っ。
どういう研修を受けたら、そのような従業員たちが誕生するのだろうか。
年に一度、職場に来て指導と研修をしてほしい。
今回この特集にご寄稿のきっかけも、タイトルで書いたような寛大さに背中を押された体験をしたからです。
とある町おこしイベントを偶然知り、町を歩いていると小さなオープンテラスの喫茶店がありました。
イートインスペースもあり、お品書きを見ようとメモが貼ってあるボードに近づくと…そのメモに書かれていたのはメニューではありませんでした。
個人の特技が書かれており、その中に「喫茶店のあれこれについて綴った文章を書きませんか かげ山」のメモが!
オープンテラスの店員さんに話を伺うと、クルミドコーヒーさんからの依頼だという。
根っからのアナログ人間な私に代わり、「胡桃堂喫茶店なら詳しい内容が聞けるかも」という情報を入手してくださり、早速来店。
店員さん…「胡桃堂に直接行くなら、依頼メモに対しての返事メモを書いても無駄なのでは?」という言葉を、思ってても飲み込んでくださり、ありがとうございます!
また胡桃堂さん…あの節は配慮が足らず、申し訳ありませんでした!そうですよね、13時過ぎといえど店内は混んでますよね。
それなのに丁寧に対応してくださるばかりか、まさか影山店主自らが説明してくださるとは思ってもなく……めちゃくちゃ緊張しました!
しかもわざわざスマホで検索しながら、丁寧でわかりやすい説明もしてくださり、本当にありがとうございました。
こんな何の連絡もなく、飲食注文もなくいきなり「文章書き手の募集を見て来ました」な人間にも対応して頂き、後になって正直肩身が狭い思いでしたが背中を押された気がしました。
そして今に至ります。
つまり店主とは、寛大さがないと難しい職業なんだと思うというのが個人的な意見です(2回目)。