胡桃堂喫茶店

特集・弥生篇[令和五年]喫茶店と花

花々の影は踊る。

山口吉郎

さしこむ太陽の光、
たたずむ照明の光が店内に満ちる。

喫茶店の光は優しく私たちを照らす。

さしこむ太陽の光、
たたずむ照明の光が店内に咲く花を照らす。

喫茶店の花は静かに私たちを癒やす。

喫茶店の優しい光に照らされ、壁に、テーブルに、花台に、花々の影がうつる。

喫茶店の光をまとう花々の影は美しい。

影はフォトグラムのように生命のかたちの美しさをうつしながら、定着されることなく、刻々と変化する光とともに動く。まるで踊るように。

喫茶店の光に照らされ、花々の影は踊る。

ゆっくりと、ゆっくりと時間をかけて。
時に淡く、時に濃く。

花々の影は美しい。

山口吉郎

国分寺に暮らし、本のデザインに取り組む日々。芸術を考えるとき、アルベルト・ジャコメッティを想う。

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