胡桃堂喫茶店

特集・長月篇[令和五年]短歌 お題「喫茶店」

胡桃と珈琲

古川さと

久々に 染めし我爪
吾亦紅
春には巣立つ
吾子と茶をしに

 

なかなかに
真二つ難し 胡桃割り
じりりと圧す コマ送りかな

 

水菓子好む 若き君
粛々無花果 クリームに和え

 

学舎(まなびや)の
行きに帰りに 摘まみしは
くわのみ やまもも やまぼうし

 

そうだっけ?思い出話に首傾ぐ
日々更新の只中なれば

 

横並び スマホ片手に空返事
そんなものよと お冷鳴る

 

しかときけ
あなたを泣かす 男は二人
独り珈琲の若かりし我

 

悲しさと 悔しさで涙流れしは
恋路ではなく 育児なりけり

 

こんな風に
茶を飲むことはもうなかろう
餞(はなむけ)とばかり 秋の珈琲

 

母親にとって、息子は分かち難い存在だと聞くにつけ、そうはなるまい!と思いきや、がっつり我が身に食い込んでおりました。驚き。

とにもかくにも、ありがとう。
そして、さよなら息子達。
私もわたしの道をいきましょう。

古川さと

鳥派。
小鳥に好かれたい。
積読多々有。
歩き過ぎて、叱られる。
方向音痴。

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