では、『接客業』は不思議という話を(笑)。
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東京を少し離れた住宅街の片隅にある小さなカフェ&レストラン。
本格的な美味しいお料理と飲み物を揃え、気軽に来れて、ほんのわずかな時間でも、
日常から解放され「心を休める場」になってほしいと始めたお店。
オープンから2か月、『接客業』って不思議だと思う。
今日、誰と出会うのかわからない。
何が起こるのかもわからない。
自分は何が出来るかも。
『接客業』はなんの予想もつかないまま一日が始まる。
たくさんの飲み物、知らない名前のお料理に迷ってメニューのページを行ったり来たりするお客様。
でも、なんだか楽しそうに迷ってる。お声をかけようか、どうしようかな。
いつも家で一人で食事をしているという高齢の女性が来店。
ご飯の量、食べられない食材の配慮、塩分調整、油少な目……、
遠慮せずになんでもご希望をどうぞ!
シニア男性が認知症の奥様と来店。
「女房がこの店を見つけて、『ここに来たい』と言ったんですよ!」と嬉しそうに
話してくださる。
月1回の子ども食堂には、全国の匿名の人からお米や野菜が届く。
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これは白日夢、真っ赤な嘘のお話?
いえいえ、これは目の前で起こっている出来事。
昨日まで赤の他人であった人たちとの邂逅(めぐりあい)から、想像以上のことが起こっている。
そういえば、友人から「こんなお店を始めたい」と初めて相談されたのは、ここ国分寺の喫茶店、理想のお店の青写真を一緒に描いたのもここだった。
「白から黒に無限に濃度を増していく灰色が人生ではなかろうか」と書いたのは新井満(文藝春秋社「尋ね人の時間」)。
カフェ、喫茶店が、モノトーンの日常に一滴一滴色を添えている。