胡桃堂喫茶店

特集・文月篇[令和四年]

あの子の赤

fennec

みんなはどんな色の世界の中を生きているのだろう。

 

わたしにとっての赤はあの子にとっても同じ赤なのだろうか。
暖色系、寒色系と色を分けても多くの人と通じ合えるのだから同じような色は見えているのだと思う。

でもきっと、わたしの赤とあなたの赤はすこし違うはず。

 

好きな色だったら他よりも鮮やかに目に飛び込んでくるかもしれないし。

アラームなしですっきり起きられた日の朝の土手散歩で見る太陽はその人だけにきらきら輝いて見えるかもしれない。

視力の違いとかでも変わってきそう。

 

そんなことを考え出すと誰とも同じ景色を見られない気がしてさみしくもあり、ただ一人わたしの世界を生きていることの不思議さに圧倒されたりする。

あなたの黄色、彼の青。
どんな色をしているのだろう。
ちょっとのぞいかせてもらいたいものです。

fennec

サハラ砂漠に生息するフェネックに似てるとある人に言われた。
胡桃堂喫茶店でひとり本を読んだり、ノートに何やら書いたり、ヘブライ語を勉強しているフェネック似がいたらそれはきっとわたし。

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