2025年2月24日(月)付けの手紙
あなたへ
いきてるのか しんでるのか わからない
にんぎょうのタマシイ。
ずっと探しているはずの子がいるのだけれど
その子が どういう子なのか
とっても遠くに行ってしまったようで
わからなくなってしまいました。
いつから わたしは 感じることを
否定してしまうように なったのでしょう。
ねえ、どこに行っちゃったの…?
この手紙を書いている途中、頭上から
「胡桃堂喫茶店 特集―弥生―」なるものが降ってきました。
表紙に書かれた文字―「こころのともしビト」
ちいさくて、掌にすっぽりおさまるくらいの手帖。
たまたま訪れた人しかみることができないもの―。
わたしはそのページをめくりました。
―こころのともしビトー
ひとみをとじて、まぶたのうらに描かれる星座を、めでよう…
ほのかなひかり ちいさなほほえみが ふりそそいでいると
感じられる朝に
ポケットの中をひっくりかえすと、
ビー玉やお菓子のおまけについてくるおもちゃが
コロコロころがってきて
めをきらきらさせる、
そんな夜に
じぶんの中のこどもと約束した、ちいさな約束を
忘れないで 守りたい…
脈々と続いているわたしの物語を創造してみて…
祈りをもって。
こころのともしビトのスペースを よういするために
それを ゆるすために――
あなたに出会うことは、
わたしに出会うこと――
だれが書いたのでしょう…?
記憶は断片的です。
そもそも、にんぎょうのままで自分の時間を生きることなど
できるのでしょうか…?
にんぎょうの記憶を紡ぐために、
まずわたしを
とりもどさなければならないようです…。
シュールさんより
2025年3月15日(土)付けの手紙
あなたへ
そうそう、先日、胡桃堂喫茶店というお店に
行きました。
そしたらね、その子がいたんです!
ひとめみて、その子があなただとわかりました。
でも、そっとしておいてあげましたよ。
だってほら…だれだって、すこしくらい、
ひとりになりたいとおもうときが
あるでしょう…。
わたしはあなたに、
わたしの心の中に帰ってきてほしかったけど…
きっとわたしの心が狭くなって窮屈になってしまったのね。
ごめんね。
あなたの好きなグラタンを用意して待っているから、
気が向いたらぜひ帰ってきてくれるとうれしいです。
シュールさんより