胡桃堂喫茶店

特集・弥生篇[令和七年]自分の時間を生きていると感じられるとき

「娘たちの時間」

齋藤るる

40歳で第一子(長女)を出産し、44歳で第二子(次女)を出産した。

次女が2歳8ヶ月のとき、次女が鼻唄で次のようにうたっていた。鼻唄ではありながら、出てきた言葉は、いわば次女自身による「作詞」である。

「はじめにお母さんが行った。
  次にお父さんが行った。
  次に加藤さんが行った。
  次にお姉ちゃんが行った。
  次にモモ(次女の名)が行った。
  モモ、モモ、モモ。
 ゆっくり歩く道よ」

お母さん、お父さん、加藤さん(お父さんの仕事を手伝っているバイトの女性)、お姉ちゃん、モモ。歌詞に出てくる登場人物は普段、家にいる人たちで、年齢順に並んでいる。
年齢順に人生という道を先に歩く(行く)先輩たちと、自分(モモ)。
先に歩く人たちを見て、自分もゆっくり歩く。
自分の時間をゆっくり歩く責任と決意。
次女の思いを想像しつつ、母である私自身も、先人を手本に生きていることを、そして、「いのち」の循環の一つにいることを感じた。

今、娘たちは学校を卒業し、長女は社会人となり、次女は専門学校へと通い出した。

娘たちよ、どうか、「自分の時間」を生きてほしい。
もし、「自分の時間」を生きていないと感じる時間があるならば、それは言葉に出して伝えてほしい。
実は、ずっと昔、庶民が自分の時間を生きていた頃、先人たちは「いのち」というものをとっても大事に考えていたんだよ。そして、私たちもそれに続くことができるんだよ。

変えられるよ、「自分の時間」に。

齋藤るる

西国分寺在住。好きなメニューはクルミドティーと赤米定食。優しい夫と、爬虫類好きな長女、アーティストを目指す次女との四人暮らし。困ったことを解決するのが好き。モットーは「愉快にたのしく努力する」。