胡桃堂喫茶店

特集・皐月篇[令和七年]心がデカめに動いたとき

映画

大畑純一

私は映画が大好きだ。
古い作品をたくさん観てもいない。年間で観る本数も大してない。

例えば音楽で言ったら星野源が一番好きだけど、星野源を一番よく聴いてるわけじゃない。
ライブにもほぼ行かないしファンクラブ(YELLOW MAGAZINE)にも入ってない。(お金を落としてないことについては誇れないが)

じゃあ大好きの根拠は何なのかといったら、
そりゃあ、大好きと断言できる熱量にある。

映画のどこに感動するかというと色々ある。
ストーリーに、感情移入した主人公に、込められたエールに涙することもある。

でも近年とくに打ちのめされるのは、
いったいどうやったらこんなものを形にできるのか
俳優がいて、脚本があり、ロケーションがあり衣装や美術があり、計画があり雑務があり、カメラとマイクで切り取ったものを、編集して脚色して、アイデアもテクニックもコミュニケーションも何百人のそれを総動員して、全てを一つの映画作品に落とし込む、
お金がかかっているだけでは説明がつかない、途方もないスタッフクレジットの総体を見たとき、
なんて素晴らしい仕事なんだと、奇跡のように感じることがある。

運任せではない、
多くの人の努力によって
創り出すことのできる奇跡が、映画にはある。

大畑純一(おおはた・じゅんいち)

スタッフ。チーム全体の庶務を仕事の中心としながら、たまにシフトにも入る。ホールをうまく回せているときが人生で一番楽しい。ただ、脳のメモリが十分でないためよく混乱している。


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