胡桃堂喫茶店

特集・皐月篇[令和七年]心がデカめに動いたとき

プロポーズ

とりがすきー川越

不遜な考えだとわかっている。
でも、譲れなかった。

 

もし相手が
君が好きだ。結婚してほしい。
とか
君を愛してる。結婚、、(以下省略)。
なんて言ったら、瞬殺。
好きじゃなくなったら、愛さなくなったら、じゃあおしまいなんですかね。

はたまた、
君を幸せにする。だったら、
それは貴方の考える幸せで、私の幸せかどうかはわかりませんよね?

君を守る、も同様。
私の、何を、守ると???

ポーンと打たれたら、バァーンっ!
返し打ちのシュミレーション。
人は、条件が変わったらいつでも離れていくものだから。
怒涛の日々で得た、苦い教訓。
今心底好きだとしても、先のことなどわからない。自分の、まして他人の思いの不確かさなど。

✳︎

夜気をまとった公園で、横を歩く彼がふと足を止める。
真っ直ぐこちらを見る。対峙。

すうっと間合いを詰め、言葉を吐く。

「、、一緒に、生きよう。」

 

息を呑む。

「一緒に生きていこう。」

彼は,静かに続けた。

✳︎

ああ。この人は。
私のちんけな考えを凌駕するこの人は。
柳のような見かけに、鋼の意志をもつこの漢(おとこ)は。
しちめんどくさい私の手をつかんで離さないと決めたのだ。
好きとか愛してるとか、幸や不幸を透過して。
そんな諸々、ひっくるめて。

✳︎

ガシッとあなたにしがみついて、わあわあ泣いた。

それが、答えだ。

とりがすきー川越

都内で生まれ、3歳から川越。
ほぼほぼ川越人。
でも愛しているのは、ぞうきりん。


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