胡桃堂喫茶店

特集・水無月篇[令和七年]ファンタジー

ファンタジーのたね

(な

いつのころからか、小説が苦手です。

こんなことを言うと、「本屋なのに?」とびっくりされることが多いのですが
ちゃんと本屋に勤め始めたときには、あまり小説を読まなくなっていたように思います。

中でも苦手なのが「ファンタジー」。
これは自覚した瞬間をはっきり覚えています。
幼稚園のころだったと思います。

そのときは小説ではなく、その当時、話題になっていたアニメを見ていたときでした。
いまになって思えば、そのアニメの内容が、幼稚園児にとって難しかったのかも知れません。
でもそれ以降、なんとなくファンタジーを避けるようになりました。

長い長い年月が経ち
今年になって、あることがきっかけとなり
どうして小説が苦手になったのか、を探る旅(?)が始まりました。

なぜあのときファンタジーを苦手だと思ったのだろう。

さかのぼって考えてみたところ、わたしは「ファンタジー」を
「思うようにならない状況に陥ったとき、それを変えることのできる、奇跡のような何か」
と、捉えていたことが分かったのです。

そして、意外だったのは
嫌なのは「ファンタジー」ではなく、「思うようにならない状況に陥ること」自体だということ。
…長年、「ファンタジー」にも、あのアニメにも、濡れ衣を着せていたのです。

 

誰の人生にも、大なり小なり起きている(と思われる)この「ファンタジー」。
ときどき、お店に立っているときにも「ファンタジーのたね」のようなものを感じることがあります。

お店界隈で発動する数々の「ファンタジー」。それを見届けること。
これからのわたしの楽しみでもあります。

(な

猫と暮らして数十年。
いつか猫に好かれる人になりたいと日々精進中。


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