母はハーフだった。
父から母の出生を聞かされた。驚かなかったといえば嘘になるが、言葉に詰まって話せなくなるようなことはなかった。考えたことはなかったし、当たり前だけど想像することもなかった。いや、あったか。
瞳の色が緑がかっているというか、灰色っぽいというか、顔立ちが少し日本人っぽくないところがあって。だからときどき冗談で友達や恋人と「混血なのかも」ってふざけた記憶はあるけど、本当に混血だったなんて。
事実を直接、母にも確かめた。
死んだというか、〝いない〟とされていた母の父のことを母から初めて聞いた。知らなかった事実に触れたのだ。大人になってから、自分が知らない、自分の出自を知らされて、映画やドラマの世界の話みたいだなって。いまだに現実味がない。
母は言った。
「黙っていたことを悪く思わなきゃいけないかしら」
なぜ隠していたんだろう。なぜ、わたしはモヤモヤするんだろう。行き場のない感情が、からだをグルグルするよ。