これは金継ぎをする師匠の手。
頼りがいのあるしっかりした手が、繊細に動く。
力強さとあたたかさが伝わってくる。
師匠が持っているのは母のお気に入りのもの、
父とのペアマグカップ。
何年もの間、毎日、縁が欠けても使い続けていたので
大きな欠けが3か所もできてしまっていた。
それをまずは、粘土のようなもので埋めて、ヤスリをかけて形を整える。銀色に塗る。銀粉をかける。
いつもは金を使うけど、「銀色も合うかと思って」と
師匠が用意してくれていた。
丸一日乾かして、母に渡した。
今日もマグカップにはカフェオレが入れられている。
大切にしたいものや人を大切にし続けられる金継ぎ、そして胡桃堂喫茶店。