じつは私はコーヒーが得意ではないのです。
でも昔からあの香ばしいにおいだけは妙においしそうに感じて、胡桃堂のようなすてきなお店に行くと必ず頼んでしまうくらい好きな飲み物です。
そんなコーヒーとの出会いは花の都パリ。
はじめて飲んだエスプレッソは本当に苦くて、渋くて、量も少ない!(笑)
と最初の印象がよくなかったので、それからしばらくはコーヒーを飲む気にはなれずにいました。
そんなある日、とあるレストランでとてもおいしいランチを食べた後でした。
その日はおいしい食事に気分がよくなっていたのか、ちょっと背伸びをしたかったのか、めずらしく食後にエスプレッソを頼んでみたのです。
あの日以来の再会。
やってきたエスプレッソはというと、変わらずいつものように良い香りを漂わせながら、いつものようにとても苦そうな濃ーい茶色の液体で、小さいカップに注がれて運ばれてきました。
正直、調子にのったかな…と少し後悔したのですが、ふとカップの横を見ると、きれいな白いメレンゲ菓子が一つ乗っていたのです。
コレ食べていいんだよね?と恐る恐る口に運ぶと、サクッとした食感のあと、お砂糖の甘ーい味が口いっぱいに広がりました。
糖質を考えひかえめな甘さ、ではなく、本当にこれぞお砂糖!というガツンとした甘さだったので、不意に違う味がほしくなってそばにあったエスプレッソを飲んだのです。
そうしたらこれがまた抜群の相性で!
永遠に食べて飲んで食べて飲んでとしたくなるほど、「コーヒーと甘いもの」の組み合わせが好きになりました。
私の中でこのときがコーヒーの存在意義を見い出した瞬間で、それからおいしいコーヒーにはそれに合うおいしいお菓子や食べ物がお供になりました。
あと、お供というか、コーヒーを飲むときって私の中では非日常を味わえたり、好きな人たちと過ごす大切な時間だったりするので、いつもよりちょっとだけおしゃれをしたくなります。
だから得意じゃないけれど、好きな飲み物です。