夏が好きだ。
どのくらい好きかというと、他の三つの季節がなくてもいいと思うくらい好きだ。
夏はいい。
まず、暑いのがいい。
暑いというだけで気分が良くなって、かなり多くのことを許せてしまう。
細かいことがどうでも良くなってしまう。
それから、日差しがいい。
夏の日差しは、とにかくかっこいい。
強い光が作る明暗のコントラストが、僕の住んでいる世界をかっこよくしてくれる。
自転車や、雑草や、金網や、アンテナや、ポストや、日常のなんでもないものが全部かっこよくなる。
さらに、濡れても大丈夫。
冬に濡れるのはかなりサイアクだけど、夏は濡れても気にならない。
気にならないどころか、むしろ喜んで濡れに行くだろう。
あえて濡れにいける季節。それが夏。
そして、生命の躍動を感じる。
夏に感じるのは、力強さだ。「負けないぞ!」と思う力だ。
寒いときの「負けないぞ」は、耐え忍ぶタイプ。
でも夏の「負けないぞ」は、跳ね返すパワーだ。
自分も何かを発して、みんなもそうしていて、そうやってそこら中で弾けている空気が、僕を嬉しくさせるのだ。
加えて言うなら、夏は速い。
ゴミ収集所の生ゴミが腐るのが速い。
コンクリートの上でミミズが干からびている。
暮らしていて無常を感じる瞬間がとても多い。
そういうのも、なんだか自分の中身が活性化するような気がする。
とにかく、夏はいい。
反論は受け付けないが、夏が嫌いな人の意見は聞いてみたい。