胡桃堂喫茶店

特集・如月篇[令和七年]喫茶店

旗幟鮮明にすること

杉山章子

喫茶店とかカフェの居心地の良さは何で決まるんだろう

わざわざそこに行きたいと思わせる要素は何だろう

その場の空気感はどのように形作られるのだろう

 *

アメリカで第2次トランプ政権が始まった

「え、ほんとに?」と耳を疑う政策に、もやっと思うも何もしない私

調べることもなければ、考えることもない。ましてや声にだす余裕なんて一切ない

 *

そんな時、あるコーヒーショップの経営者が堂々と宣言していた

「DE&Iの旗を降ろしません」
「レインボー・フラッグも誇りを持って維持します」

これを見た時に、ものすごい爽快感を感じる自分に気付いた

それで、「またThink Coffeeに行かなきゃ」と思ったよね

妊娠出産を挟んだこの5年ほど、私はとても狭く小さい世界で幸せに暮らしていた

テレビも新聞もみず、世界のニュースどころか、国内の話題にもすっかり疎くなった

そして、静かに暮らしていたら、いつしか自分の意見を表明したり、発信したりすることのハードルが高くなってしまっていた

中立で無色透明のような場所の心地よさもある

でも「あのお店に行くってことは、あの人、そういう系の人だよね」

そういうレッテルを貼られるとしたら、むしろ今の私には心地いい

行く場所を選ぶことで、自分が言わなくても、自分の意見を表明できるなんて、簡単すぎる

以前に流行った言葉を使うと、私なりの”show the flag”ということ

(本当は、「ちょと前に」と書こうとして、調べてみたら、もう20年以上前の2001年のことだと分かり驚愕したのはここだけの話)

だから今、私が胡桃堂喫茶店に通うのも、私なりの旗の揚げ方だったりする

そこにどんな色が見えているのかは、想像にお任せするね

+9

杉山章子

巳年 双子座 千葉生まれ 千葉育ち
仕事ではミュージックセキュリティーズで「共感投資」の実現に取り組み16年
プライベートでは選択的シンママ生活を気ままに楽しみ4年が経過