胡桃堂喫茶店

特集・如月篇[令和五年]胡桃堂で撮った写真

アフリカローズ

魂という名の野生動物

生命力が強い、ケニア産のバラです。

知り合いへ、知り合ってからの感謝や、そのほかのいろんな思いを伝えたくて、贈った1輪挿し。その機会を提供してくれた胡桃堂喫茶店に贈った1本が、写真のバラです。太い茎に逞しい生命力を感じて、私は、見ているだけでエネルギーをもらうことができます。もらうだけじゃなくて、こちらの思いや祈りを運んでくれる気もしていて。そんなコミュニケーションができる花が私は、自分が思っていた以上に好きみたいです。

祈りの効果が科学的に検証、証明されているというのを知ったのは今から20年以上前でした。アメリカの研究機関が、祈りの効果を調べたと、その本には書いてありました。なかでも私の心に残っているのは、祈りに効果があるというデータのなかの、次の一節です。

祈りの効果に、距離は関係ない。

目の前の何かへ祈っても、日本からロサンゼルスへ祈っても、効果に違いや差は認められなかった。そんな研究結果には、ずいぶん救われました。当時の私が、遠距離恋愛をしていたからです。

研究機関は、祈りの効果を調査するときに植物を使いました。私は植物、とくに花に祈りを込めたくなります。そうして大きく花びらを開かせたり、長く咲き続けてくれたり、枯れるスピードがゆっくりだったり、強い香りで存在や思いを残してくれたり。いずれにしても、そうして渡した花、そうして活けた花の多くが長生きしてくれる印象を私は持っています。そうではないこともある。それは残念なことでなく、持てるチカラの最大を瞬間に凝縮し、目を引くような姿になったり、葉を落とすことで伝えようとする何かだったりすることも、少なくありません。

花や植物は、そのように、なる。 so be it. 加えて人の思いや祈りを受け取っても、くれる。

いつも一方的で、ごめんね

魂という名の野生動物

「ない」「足りない」という世界観だった私に、影山知明さんは「すでにある」ことを教えてくれました。探していたものは、もうあった。そのときの体験を童話風にアレンジにしたのが[思い出のケーキ]という作品です。[喫茶「店と花」]という作品は、読み方次第でエンディングが異なります。別れの物語として読むと離婚届が、出会いの物語として読むと婚姻届が待っている物語です。これに[あかちゃんになる]を連作として読むという余白、遊びを残しました。[喫茶「店とまち」]の舞台はブエノスアイレスで、年代は1960年代前後です。短歌にはリアル店舗を忍ばせてあります。夜の『喫茶「店とまち」』から聞こえてくるのが[ポル・ウナ・カベッサ]です。

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