胡桃堂喫茶店

特集・文月篇[令和四年]

訪れるドラマ

大畑純一

胡桃堂喫茶店に初めて来たときのことを覚えている。
階段を上りながら胸を高鳴らせたと同時に
オレンジの窓のあまりのオレンジさに
ぎょっとしたことを覚えている。

「胡桃堂喫茶店」という名前だって
店名が決まったと知らされたときは、
(じつは)なんて変な名前なんだ!と思った。
声に出すときのリズムがわからなかった。

今となっては、
これ以外考えようがないという確信に変わり
愛着で包まれている。
店主の影山や、お店を作ってくださった井川啓央さんの
先見の明を感じずにはいられない。

オレンジの窓は
西日を受けると
強力なオレンジ光線をフロアに照射する。

あまりに強いので、
減光フィルムを貼れないかと
最近のミーティングでも話していたところだ。
(たしかに貼りたいと思う)
席によって、シチュエーションによっては
迷惑をかけてしまっているお客さまがいるかもしれないが、
私にはいい思い出がある。

階段を上がってすぐの6名がけのテーブルに向かい合って
あの人と話していたときも
あの人と話したときも
相手の顔がオレンジに照らされていった時間が
忘れられない時として刻まれている。
夕日が差し込もうとも関係なく
それは大切な時間だったのだが、
ずっと胸にしまっておけるのは
あの色が教えてくれたおかげだ。

みなさんのなかにも
光に彩られた思い出があったら嬉しいなと思います。
もしあれば、ぜひ教えてください。
どなたでもご寄稿いただけますので。

大畑純一(おおはた・じゅんいち)

スタッフ。チーム全体の庶務を仕事の中心としながら、たまにシフトにも入る。ホールをうまく回せているときが人生で一番楽しい。ただ、脳のメモリが十分でないためよく混乱している。

特集・文月篇(七月)[令和四年] 記事一覧