胡桃堂喫茶店

特集・皐月篇[令和七年]心がデカめに動いたとき

風が薫る

心が大きく動く時。
それは、風が起こる時。
私の頭の中にしかなかった言葉が、情景が、感情が、誰かの中へ広がっていく感覚。
自分の世界が、己を離れたところで構築されていく、その不思議な快感。
表現を起こす時、
私はたしかに「風」を感じた。
心はたしかに、大きく揺れていた。

さあゆきましょう
優しく撫ぜる風の薫りはすぐそこに

 

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孤独の周波数

わたしがいま独りでいる時
ひとはまた幾億にも重なる
孤独のかげである
その存在はいやおうもなく儚げで
さもうつくしいだろう
さりながら
わたしが生きる静寂の中にさへ
たましいを震わす音がある
ただ安らかに
けれどしたたかに刻まれている
歓喜ではない
悲哀でもましてや怒りでさへもない
あえかなる孤独の周波数である
それこそがひとの生きる心であり
そしてまた繰り返される
わたしの喪失であった

穏やかなるこの想いよ
ついに一輪の花となれ———

いつか花となる風を、この言葉で紡ぎます。
優しく穏やかな静寂の中で、静かな喪失と孤独に向き合い続けていく。
そこに灯るあたたかな揺らめきを見つめながら。


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